Kindle Unlimited 読み放題で読める小説5選
アマゾンが提供する「Kindle Unlimited」読み放題のサービスはご存知でしょうか?
200万冊以上の対象の本を定額で読むことができるサービスです。
読み放題なので、今まで読んだことのない作者の本にも気軽にチャレンジできますね。
たくさんある対象本の中からどれを選ぶのかも、楽しみの一つではないでしょうか?
これまでに何回か、私が読んでみた本の紹介をしてきました。
先月(2022年1月)紹介したのが下記の記事です。
そこで今回はその続編として、2022年2月版の紹介をしたいと思います。
※「Kindle Unlimited」はAmazonが提供する、本の定額読み放題サービスです。
「初回30日間無料サービス」などもあるので、詳しくは下記のリンクからご確認ください。
この記事は、こんなあなたにおすすめです。
- とにかくお得に沢山本を読みたい方
- 部屋の中に日々増え続ける本を何とかしたい方
- Kindle Unlimited でどんな本が読めるのか知りたい方
- Kindle Unlimited を試してみようか迷っている方
そんなあなたに、なにかの参考になればうれしいです。
それでは順に紹介していきましょう。
『ドクター・ホワイト 神の診断』樹林伸
2022年2月版「Kindle Unlimited 読み放題で読める小説」の1冊目にご紹介する本は、
樹林伸さんの『ドクター・ホワイト 神の診断』です。
※お詫び:2022年3月現在、こちらは「読み放題」の対象外になったようです。
2022年11月1日確認:こちらの作品は、現在「読み放題」の対象に復活しています。
これは以前「おじさんの本棚第23回」で紹介した『ドクター・ホワイト 千里眼のカルテ』の続編になります。
ご存知の方も多いかと思いますが、月曜10時枠のドラマ「ドクター・ホワイト」の原作小説です。
私はドラマが始まる前に原作を読んだので、ドラマの演出に若干違和感を感じていますが、
原作は間違いなくおすすめの作品に挙げられると思います。
癌を治すには、手術、薬物、放射線の三大治療しか方法はないのか? 神のごとき診断力を持つ少女・白夜が、癌のメカニズムを解き明かし、根本治療に挑む!
Amazon 紹介文より
前作『千里眼のカルテ』で、発症したらほぼ死に至るとされる感染症から、白夜の診断力と最新の論文に関する知見によって奇跡的に救われた「日比野カンナ」。
一時は死に瀕していた病から奇跡的な生還をしたカンナは、彼女を献身的に支えてきた滝龍太郎と結ばれて幸福な日々を送っていました。
妊娠の兆候が見られたカンナは、高森総合病院で診察を受け、妊娠していることが確認されます。
しかし、数日後の診察で、その胎児が消えてしまったのです。
検査を進めていく中で、妊娠は継続されていることが確認されますが、同時に卵巣に癌が見つかります。
カンナは妊娠の継続と出産を希望します。ーーたとえ自身の命をかけても。
医師たちは、患者と家族の希望に沿うため、胎児と母胎両方に安全な治療方針を検討します。
その結果は、従来の癌治療の選択肢である「手術、抗がん剤治療、放射線治療」の三大治療では母子双方の安全を担保できないというものでした。
そこで、「白夜」が持つ膨大な論文の知見から導き出された、奇跡を呼ぶ治療法とは・・・。
前作に引き続き、読み出したら止まらない、一気読み必至の作品です。
『ソバニイルヨ』 喜多川泰
次に紹介するのは、喜多川泰さんの『ソバニイルヨ』です。
※お詫び:2022年3月現在、こちらは「読み放題」の対象外になったようです。
何かと無気力で投げやりだった少年が、「アイ」を教えられる過程で成長していく、
とても優しい気持ちになれる物語です。
勉強が嫌いで、周りからどう思われているかばかりを気にして毎日生活している隼人。さらに、些細な出来事がきっかけで、仲の良かった友達との関係がもつれ、孤立することになってしまった。
ある日、自分の部屋に帰ると、そこには見慣れぬ物体が。
それは、長期間不在になる父親が残していったロボット・ユージだったーー。
Amazon あらすじより
中学1年の「隼人」は周りからどう見られているかを気にして、周りに合わせることに懸命になっています。
発端は、研究者の父親が、自宅近くの町工場の一角を借りて「研究所」を持ったことでした。
初めは隼人も夢を叶えた父親を誇らしく思っていました。
しかし、研究所にこもって研究に打ち込むその姿は、世間の人からは「変人」に見られたのです。
ある日、クラスメイトから放たれた「お前の父ちゃん、変人だな」という一言で、隼人は子供達のからかいの対象になってしまいました。
それ以来隼人は自分の考えよりも、「周りから浮かない=普通」であることを第一に考えるようになっていきます。
そんなある日、父親が仕事で3ヶ月アメリカに出張に行くことになりました。
父親が旅立った日に、隼人が家に帰ると部屋の中に「一人」のロボットが・・・。
起動した「ロボット」は自身の名前を「ユージ」と名乗りました。
見かけは子供の工作のようなロボットでしたが、AI搭載で人との会話ができるようです。
そして「ユージ」は、カメラで隼人を認識すると、「ヨロシク、ハヤト」と話しかけました。
話しかけられた隼人は、なぜ自分の名前がわかるのかユージに問いかけます。
「……どうして俺の名前を知ってるんだよ?」
「ボクハ、キミニアウタメニ、ウマレタカラ」
『ソバニイルヨ』喜多川泰
「なんで、俺に会う必要があるの?」
「……アイヲ……ツタエル……タメ」
ユージは父親が、自分のいない間隼人に「アイを伝える」ために残していったAIロボットだったのです。
ユージが言う「アイヲツタエル」とは・・・。
これは一人の少年が、「アイ」の意味を知ることで、本当に大切なものに気づいていく成長の物語です。
大人になっても、ともすれば忘れがちな「アイ」の意味を思い出させてくれる、
「ソバニ・オイテ・オキタイ」1冊です。
『エミリの小さな包丁』 森沢 明夫
今回3冊目に紹介するのは、森沢明夫さんの『エミリの小さな包丁』です。
※4月27日確認:こちらは、「Kindle Unlimited 読み放題」の対象から外れたようです。
これは一人の女性の再生の物語です。
傷ついた心を癒してくれたのは、おいしいごはんとおじいちゃんだった。
恋人に振られ、職業もお金も居場所もすべてを失ったエミリに救いの手をさしのべてくれたのは、10年以上連絡を取っていなかった母方の祖父だった。人間の限りない温かさと心の再生を描いた、癒しの物語。
Amazon 紹介文より
この物語を読み始めて最初に印象に残るのは、プロローグの書き出しの数行です。
わたしには武器がある。
キーンと音が鳴りそうなほどに研ぎ澄まされた出刃包丁だ。斜め掛けにしたショルダーバッグのなかにこっそり忍ばせて、わたしはいま見知らぬ住宅街を歩いている。「あの人」が暮らしている街を、ゆっくり、ゆっくり、歩いているのだ。
『エミリの小さな包丁』森沢明夫
正直いえば、まさか自分がこんな刃物を使う女になろうとは、思いもよらなかった。
まったく、人生、何が起こるか分かったもんじゃない。
いかがでしょう?
この書き出し、まるでこれから凄惨な事件が起きるかのように感じませんか?
実はこの描写の意味は、物語を最後まで読んで初めてわかるようになっています。
さらには、第一章の冒頭の一文は「わたしには武器がない」から始まるのです。
この構成にまず痺れます。
主人公の「エミリ」は、働いていたレストランをある理由でやめて、仕事をなくし、家賃も払えず失望の淵に沈んでいました。
途方に暮れたエミリは、藁にもすがる想いで、15年ぶりに母方の祖父に連絡します。
あまりにも唐突な連絡でしたが、「おじいちゃん」は、
「で、いつから来るんだ」
「えっ、行って……いいの?」
「死んだばあさんの部屋を使えばいい」
とあっさり、エミリを受け入れてくれました。
そうして、おじいちゃんの住む、海の見える家でエミリの新しい生活が始まったのです。
海沿いのその街に暮らす人々も、少しクセはありますが、エミリを受け入れてくれます。
目の前の海で採れた魚、まわりの畑に実った野菜たち。
自分で釣った魚をさばくために、おじいさんがエミリに渡した小さな包丁。
それは、おじいちゃんが大切な人からもらったもので、長年砥ぎ続けてきて小さくなったものでした。
その小さな包丁で、エミリはおじいちゃんと一緒に料理を作ります。
自然の恵みを使っておじいさんが丁寧に作る料理は、傷ついたエミリを体の内側から癒していきます。
エミリはその暮しの中で、時々切ない想いをしながらも、自分自身を受け入れていきます。
龍浦で暮らしたこのひと月と少しのあいだに、身体の細胞は入れ替わり。心の中に鬱積していた澱も海風で吹き飛ばし、新鮮な心を抱いている気がする。どうしてこんなに変わったのだろう。考えられる答えは、おそらくひとつだった。
『エミリの小さな包丁』森沢明夫
この物語を読み進めていくと、エミリがこうして再生していく過程をわたしも共有していることに気づきました。
エミリの再生と共に、読者もまた浄化されていくような、そんな感じのする物語です。
エピローグでは、おじいさん目線で、旅立っていったエミリへの思いが語られます。
そして、それまで語られることのなかった「そうだったのか」という内容が明かされます。
わたしも、このおじいさんのような人になりたいと思いました。
とにかく美味しそうな魚料理にも魅せられる、今回一押しの作品です。
『夜が明けたら、いちばんに君に会いに行く』潮見夏衛
4冊目に紹介する本は、潮見夏衛さんの『夜が明けたら、いちばんに君に会いに行く』です。
思春期の苦悩の一つに「他人の目に自分がどう映るか?」という悩みがあるように思います。
他人の目を気にし過ぎて、自分の気持ちを奥深く閉じ込めてしまう。
ともすると、大人になっても引きずってしまうそんな苦悩はどう解決していけばいいのでしょうか?
これは、そんな呪縛から解放された一人の少女と、少年の物語です。
高2の茜は、誰からも信頼される優等生。しかし、隣の席の青磁にだけは「嫌いだ」と言われてしまう。茜とは正反対に、自分の気持ちをはっきり言う青磁のことが苦手だったが、茜を救ってくれたのは、そんな彼だった。「言いたいことあるなら言っていいんだ。俺が聞いててやる」実は茜には、優等生を演じる理由があった。そして彼もまた、ある秘密を抱えていて…。青磁の秘密と、タイトルの意味を知るとき、温かな涙があふれる―。文庫オリジナルストーリーも収録!
Amazon 紹介文より
上のあらすじにもあるように主人公の「茜(あかね)」は、学級委員長を任されるような優等生です。
けれど、その「優等生」としての姿は、彼女が「優等生」とはこうあるべきだと考えた虚像でした。
茜はそんな自分を自己分析します。
私は真面目な生徒で、勉強は抜かりなくきちんとやるし、だからといってガリ勉な一匹狼でもなく、他の生徒とのコミュニケーションも欠かさない。行事にも積極的に参加して、みんなと交流を深めている。
『夜が明けたら、いちばんに君に会いに行く』潮見夏衛
我ながら絵に描いたような優等生だ。
そんな具合に、「良い子」を演出するために学校でも家でも虚像の自分を演じていました。
なぜ、そんな虚像を身にまとう必要があるのか?
それは、茜が過去に負った心の傷がもとになっています。
彼女は元々、正義感の強い、思ったことをストレートに表現する子供でした。
けれど、ある出来事がきっかけで、まわりにどう思われるかばかりを気にするようになります。
そして本心を見られる恐怖から「マスク依存症」になって、自宅以外ではマスクを外すことができなくなってしまいました。
そんな彼女の虚像を一人だけ見抜いていたのが、同級生の「青磁」です。
青磁は、茜に向かって「俺はお前が嫌いだ」と言い放ちます。
けれどそれはきっと、「そんなお前は嫌いだ」ということだったのでしょう。
そんな青磁にも、人には言うことのできない不安と苦悩がありました。
青磁の不安や苦悩を支えてくれたのは、一人の少女との思い出でした。
青磁が見せてくれる景色の美しさを知り、彼の描く絵に魅せられ次第に心を開いていく茜。
お互いの生きづらさを理解し合った時、二人は大切なものに気づくのです。
物語の前半は茜のネガティブな独白が続いて、ちょっと読むのがしんどくなるところもありますが、
茜と青磁がお互いに素直になれた時、「二人とも今まで辛かったね」といたわってあげたくなる作品です。
『八月、ぼくらの後悔にさよならを』小谷杏子
今回最後に紹介するのが、小谷杏子さんの『八月、ぼくらの後悔にさよならを』です。
幽霊が見えてしまう少女と「死んだ理由」を思い出せなくて成仏できずにいる少年の幽霊。
その幽霊に頼まれて、少年が死んだ理由を解き明かしていく物語です。
「もしかして視えてる?」――孤独でやる気のない高2の真彩(まあや)。過去の事故がきっかけで幽霊が見えるようになってしまった。そんな彼女が出会った“幽霊くん”ことサトル。
Amazon 紹介文より
まるで生きているように元気な彼に「死んだ理由を探してもらいたいんだ」と頼まれる。
記憶を失い成仏できないサトルに振り回されるうち、ふたりの過去に隠された“ある秘密”が明らかになり…。
彼らが辿る運命に一気読み必至!「第4回スターツ出版文庫大賞」優秀賞受賞作。
この物語の主人公は、幽霊が見えてしまう「真彩(まあや)」という高2の女生徒です。
10年前の交通事故で頭を打ってから、幽霊が見えるようになりました。
まだ子供だった真彩は、幽霊が見えることをまわりの大人たちに告げました。
それを聞いた大人たちは、事故で脳に何らかの障害を受けたのだろうと考えます。
しかも「幽霊が見える」などと気味の悪いことを言う真彩と距離をおくようになりました。
孤独になっていった彼女は、次第に人生そのものにやる気を失っていきました。
そんなある日真彩の前に、幽霊らしくない、元気な「サトル」が現れます。
彼は「死んだ理由」がわからないと、成仏できないと言います。
そんなサトルをほっておくこともできず、真彩は「死んだ理由を探す手伝い」を引き受けます。
本当は、「他人?」の手伝いをする余裕のないくらい、真彩は人生に絶望していました。
それは、事故で幽霊が見えるようになってから積み重ねてきた大きな後悔のせい。
自分の心のバランスを取ることも難しい中で、真彩はとうとうサトルが「死んだ理由」にたどりつきました。
その事実は、あまりにもショッキングな内容でした。
しかし、それこそがサトルと真彩の二人をともに浄化させる真実だったのです。
海岸でのラストシーンは、二人が浄化されていく過程がとても美しく描写されます。
そして、この作品のタイトルの意味がじんわり沁みてくるのです。
紹介文にもあるように、まさに一気読み必至の一冊です。
まとめ
いかがでしたか?
「Kindle Unlimited 読み放題」で読むことができる小説から、2022年2月版として5作品を紹介しました。
Unlimitedを利用しはじめてから、今まで読んだことのなかった作家さんの作品にも触れることが増えました。
本屋さんで目についた本を購入するのも楽しいですが、
「読み放題だからダメもとで読んでみるか」というのも意外な良い作品に出会えて楽しいと思っています。
なお、読み放題対象の本は定期的に入れ替えがあるので、気になった作品があればお早めにどうぞ。
以上、この記事が何か少しでもあなたの参考になればうれしいです。
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