2022年夏の特別編(ホラー小説特集)
さて、いよいよ本格的な夏がやってきました。
読書好きの皆さんにとって夏といえば…、
はい、やはりホラー小説ですよね(笑)
私が子供の頃、夏休みといえば、お昼のワイドショーで
「恐怖体験の再現ドラマ」や「怪談」なんかのコーナーが必ずあリました。
夜には、「横溝正史シリーズ」とか、「学校の怪談」とか、「ほん怖」とか・・・。
怖がりのくせに、怖いもの見たさでテレビに齧り付き、夜一人でトイレに行けなくなったりしたものです(笑)
そんな夏のお楽しみとして、いつもの「Kindle Unlimited」の紹介を、
今回は、「夏のホラー特集」にしてみようと思い立ちました。
2022年7月に「読み放題」で読んだ、ホラー小説5選の紹介です。
夏の夜にゾーッとしてみるのはいかがでしょうか?
※お詫び
いきなり、最初からお詫びですが、今回紹介する5作品は8月1日現在「読み放題」の対象外になってしまったようです。
本来、読み放題で読めるホラー小説として紹介するはずでしたが、2022年7月に「読み放題」で読んだ作品の紹介に変更させていただきます。
悪しからず、ご了承ください。
※2022年11月1日確認:
上記のように一旦対象外になっていましたが、
現在『シライサン』『夜市』『黒い家』『異端の祝祭』の4作品が、
「読み放題」の対象に復活しています。
「Kindle Unlimited 読み放題」について
さて、Amazonが提供している本の読み放題サブスク「Kindle Unlimited」はもうご存知ですよね。
毎月定額で、200万冊以上の対象のラインナップが読み放題のサービスです。
「ライブラリー」に同時に保持しておけるのは20冊までですが、
既読の本と入れ替えれば、新たな本をライブラリーに追加することができます。
読み放題で気に入って持ち続けたければ、「Kindle本」として購入する手もあります。
その場合でも、紙の本よりは若干割安で購入できます。
購入したKindle本も一緒にライブラリーに保存しておけば、
いつでも、どこでも、その時の気分で本を選ぶことができますよね。
何十冊、場合によっては何百冊の本を持ち歩いているのと同じなのは魅力的ではないでしょうか?
※「Kindle Unlimited」の詳細はこちらをご覧ください。
「初回30日間無料サービス」があるので、最初の30日間は何冊読んでも無料です。
お試ししてみて、「合わないな」と感じたら、無料期間中に止めることも簡単にできます。
2022年1月から毎月、私が「Kindle Unlimited 読み放題」で読んだ本の紹介をしてきました。
前回、(2022年7月版)としてご紹介したのが下記の記事です。
さて、前置きが長くなりましたが、
2022年夏の特別編ホラー小説特集として、5作品の紹介をしたいと思います。
では、いってみましょうー!
『シライサン』乙一
今回1冊目に紹介するのは、乙一さんの『シライサン』です。
※2022年11月1日確認:この作品は現在「読み放題」の対象に復活しています。
その怪談の内容を知ってしまった者は呪われる。
「あいつ」がやってきて命を奪われる。
親友の変死を目撃した女子大生・瑞紀の前に現れたのは、同じように弟を亡くした青年・春男だった。何かに怯え、眼球を破裂させて死んだ二人。彼らに共通していたのはある温泉旅館で怪談を聞いたことだった。
Amazon紹介文より
その日、女子大生の「瑞紀」は喫茶店で親友の「香奈」と一緒でした。
香奈が先日バイト仲間と一緒にいった、温泉旅行のお土産を受け取るついでです。
旅先でどんなことをして過ごしたのかと聞く瑞紀に、香奈は「怖い話とか…」と答えます。
旅先でのノリで、一人ひとつずつ怖い話をすることになったのだそうです。
そんな香奈たちのロビーでの会話を耳にした地元の青年が、自分が知っている怪談を披露しました。
彼は、香奈たちが泊まっているホテル出入りの酒屋の店員でした。
旅先でのそんな話をしていると、突然、香奈が窓の外の一点を見つめて怯え始めました。
突然のことに、どうしたらいいのかわからないでいる瑞紀や店員の前で、
香奈は突然死してしまったのです。
それも、通常ではあり得ないような死に方で・・・。
しばらくして、香奈と同じ死に方で弟を亡くしたという青年「春男」が瑞紀のもとを訪れます。
その晴男の弟というのが、香奈のバイト仲間で一緒に温泉旅行に行ったうちの一人だったのです。
不可解な突然死が続けて二件、しかもその二人は一緒に行った旅行から帰ったばかりです。
旅先で何かがあったのか?
だとしたら一緒に行った他のメンバーは大丈夫なのか?
瑞紀と晴男がその突然死の謎を追ううちに、犠牲者は他もいることがわかってきます。
そして、共通点は、ある怪談を聞いたことらしいのです。
その怪談「シライサン」の話は一体誰が、いつ語ったものなのか?
そして、何故今になって再び、人々に知られることになったのか?
物語の最後になって、思いもよらない真相が見えてきます。
この夏おすすめの「怖ーい」お話です。
『夜市』恒川光太郎
次に紹介するのは、
恒川光太郎さんの『夜市』です。
※2022年11月1日確認:この作品は現在「読み放題」の対象に復活しています。
妖怪たちが様々な品物を売る不思議な市場「夜市」。ここでは望むものが何でも手に入る。小学生の時に夜市に迷い込んだ裕司は、自分の弟と引き換えに「野球の才能」を買った。野球部のヒーローとして成長した裕司だったが、弟を売ったことに罪悪感を抱き続けてきた。そして今夜、弟を買い戻すため、裕司は再び夜市を訪れた――。奇跡的な美しさに満ちた感動のエンディング! 魂を揺さぶる、日本ホラー小説大賞受賞作。
Amazon紹介文より
上の紹介文にもあるように「日本ホラー小説大賞」受賞作ということで、
ぞーっとするような、怪談を覚悟して臨みました。
この本は、表題作の『夜市』と『風の古道』の2編の作品が収めされています。
『夜市』
「裕司」は小学生の頃夏祭りで、夜店の並びから外れた「夜市」に弟と二人迷い込んでしまいます。
そこは、妖たちが、さまざまなものを取引する場所でした。
人間の子供が行くところではありません。
そして、一度夜市に入ったら、何か取引しなければそこから出ることはできないのです。
追い詰められた裕司は、人攫いの店で弟と引き換えに「野球の才能」を手に入れます。
もちろん、無事夜市から出ることができれば、大人たちに助けを求めて弟を取り返すつもりでした。
なんとか夜市から出ることができた裕司でしたが、現実世界では弟の助けを求めることができませんでした。
夜市で売られてしまった弟は、現実世界では元々いなかったことになっていたのです。
弟と引き換えに「野球の才能」を手に入れたことの罪悪感がずっと裕司を苛みます。
数年が過ぎて、また夜市が開かれることを知った裕司は、
弟を買い戻すために再び、夜市に向かいます。
罪の意識に苛まれ続けた裕司に訪れる結末とは・・・。
それは、哀しくも切ない、美しいエンディングでした。
『風の古道』
「私」が7歳の時、花見に行った公園で父とはぐれてしまいました。
その公園は7歳の子供にとっては家から遠すぎる場所です。
帰り道がわからず途方に暮れて泣いていると、一人のおばさんがやさしく声をかけてくれました。
私がおばさんに住所を告げると、
武蔵野市の吉祥寺北町なら……あの道なら真っ直ぐだねえ
と呟いて、ある道へと導いてくれました。
それは車一台分ほどの幅の未舗装の田舎道でした。
おばさんはその道を指差して、
武蔵野市だったら、この道をずっと向こうに歩いたらつくから。ぼく歩ける?寄り道しないでまっすぐいくんだよ。夜になったらお化けが出る道だからね
そう、教えてくれたのです。
一刻も早く家に帰りつきたくて急いで歩きましたが、その道は子供心にも奇妙な感じのする道でした。
「私」は、無事に家に帰り着くことができましたが、その道のことはなんだか幻のように感じれらたのです。
その道のことは、何故か人に話してはいけないような気していたのですが、
私が一二歳の夏休みに友人にその不思議な体験を打ち明けました。
その友人の「カズキ」はその話に興味を持って、
「じゃさ、これからその道にいってみようぜ」ということになりました。
そして二人はその「不思議な道」に入り込んでしまいます。
道に迷って辿り着いた「茶店」のおじさんから、二人はこの道について教えられます。
この道はね、そもそも人間で通ることのできる者は、ほんの一握り、何年も修行を重ねたお坊さんか、特殊な血族の者だけだった。戦で国が分かれてあちこちに関所があっても、そういう人に限って関係なく抜けていける便利な裏街道だったんだ。
だけど、君たちにとってはそうじゃない。
君たちが使っていい道じゃない。
二人はどうやら大変な「道」に入り込んでしまったようです。
そこから抜け出すにも、「正式な出入り口」のある場所まで行かなくてななりません。
そして二人は出口に向かう行程で、いろいろな出来事に遭遇することになるのです。
人との出会いもありました。
「道の中の世界」で生きる人、外の世界との「貿易」を生業とする人。
その「道の中の世界」での経験から「私」は何を見つけるのでしょうか?
この物語もどこか哀愁の漂う、美しいお話でした。
気怠い夏の午後に、おすすめの作品ではないでしょうか?
『黒い家』貴志祐介
次に紹介するのは、貴志祐介さんの『黒い家』です。
※2022年11月1日確認:この作品は現在「読み放題」の対象に復活しています。
若槻慎二は、生命保険会社の京都支社で保険金の支払い査定に忙殺されていた。ある日、顧客の家に呼び出され、期せずして子供の首吊り死体の第一発見者になってしまう。ほどなく死亡保険金が請求されるが、顧客の不審な態度から他殺を確信していた若槻は、独自調査に乗り出す。信じられない悪夢が待ち受けていることも知らずに……。恐怖の連続、桁外れのサスペンス。読者を未だ曾てない戦慄の境地へと導く衝撃のノンストップ長編。第4回日本ホラー小説大賞受賞作。
Amazon紹介文より
ホラーというと、悪霊とか妖とか、超常的な現象に巻き込まれる恐怖を思い浮かべがちではないでしょうか?
一方で、本当に恐ろしいのは、日常を生きる人間による恐怖ではないかと思ったりします。
「サイコホラー」というのでしょうか?
通常の感覚からすると狂気と思えるような、残虐な行為をなんの躊躇いもなく淡々とこなす人間による犯罪がしばしばニュースになります。
サイコパスという言葉が一般的に使われるようになってどれくらい経つでしょう?
この物語では、まさにそんな日常に起こり得る恐怖が描かれているように思います。。
主人公の「若槻」は、保険会社の支払い査定を担当しています。
顧客に呼び出され、訪れた先でその家の子供の首吊り自殺の第一発見者にされてしまいます。
そこになんらかの作意を感じ取った若槻は、これは他殺ではないかと疑いを持ちます。
そうして、その両親の過去を調べるうちに次々と明らかになる、彼らの周囲で起きた不審な死亡案件。
ところがその先にはとんでもない恐怖が待っていたのでした。
結局「人間が一番怖いよね」と思わずにいられません。
超常的な怪異のお話とは、また違った恐怖を感じる作品です。
『異端の祝祭』 芦花公園
次に紹介するのは、
芦花公園さんの『異端の祝祭』です。
2022年11月1日確認:この作品は現在「読み放題」の対象に復活しています。
失敗続きの就職浪人生・島本笑美。
Amazon紹介文より
原因は分かっている。彼女は物心ついて時から生きている人間とそうでないものの区別がつかないのだ。
街に溢れ返った異形のモノたちは、自分の姿が見えているとわかるや否や、笑美に纏わり付いてくる・・・。
ある日、ダメ元で受けた大手食品会社「モリヤ食品」の面接で、笑美はヤンと名乗る青年社長と出会う。
出会ったその瞬間から、何故か自分に惚れ込んでいるヤンに心奪われ、笑美はそのままモリヤに就職することを決める。
しかし「研修」という名のもと、ヤンに伴われて笑美が見たのは、「ケエエェェェエコオオォォオオ」と奇声をあげながら這い回る人々だったーー。
一方、笑美の様子を心配した兄・陽太は、心霊案件を専門とする佐々木事務所へ相談に訪れ・・・。
人ではないものが見えてしまう女性「島本笑美」。
就職浪人中の彼女が、ダメもとで受けた大手食品会社の面接はなぜか即決で採用が決まります。
その採用を決めたのが、重役たちから「社長」と呼ばれるまだ10代後半にしか見えない「ヤン」という青年でした。
本来の社長は別にいるのに、何故か実質的な社長のような権力を持つヤンは何者なのか?
初仕事で、笑美がヤンに連れて行かれた先で見たのは、とても「研修」とは思えない異様な光景でした。
「明らかに何かがおかしい」と思い始める笑美ですが、ヤンのそばに居るだけで感じる不思議な多幸感から離れられなくなっていきます。
笑美の様子を心配した兄の陽太が、大学時代の知り合いであり、心霊案件を扱う「佐々木事務所」に相談を持ち込みます。
そこから、佐々木事務所の女性所長の「るみ」と、助手の「青山」による捜査が開始されるのです。
敵の正体を知るため、民俗学、宗教学、心理学といった領域の知識を駆使した謎解きが展開されます。
もしも、社会の「理不尽」や「過ちを」正す使命を負ったのだという誇大妄想を抱く者が現れたら。
それが、自分こそが、神に代わってこの世界の浄化を担うのだという妄想だったとしたら。
「ヤン」は「笑美」を使って、一体何をしようとしているのでしょうか?
この物語のようなことが、現実に起きないことを祈ります。
私たちの日常にも、忘れた頃に現れる「カルト集団」を取り巻く事件のニュース。
サイコパスが集団を指揮する時、恐怖は現実化するかもしれません。
リアルな恐怖感を感じさせる「ゾーッ」とする物語です。
『ナキメサマ』 阿泉来堂
さて、今回最後に紹介するのは、
阿泉来堂さんの『ナキメサマ』です。
高校時代の初恋の相手・小夜子のルームメイトが、突然部屋を訪ねてきた。音信不通になった小夜子を一緒に捜してほしいと言われ、倉坂尚人は彼女の故郷、北海道・稲守村に向かう。しかし小夜子はとある儀式の巫女に選ばれすぐには会えないと言う。村に滞在することになった尚人達は、神社を徘徊する異様な人影と遭遇。
Amazon紹介文より
主人公の「倉坂尚人」の元に、高校時代の元カノ「小夜子」のルームメイト「弥生」が突然訪ねてきます。
小夜子が、父の実家である稲守村に帰省して以来、3週間も音信不通になっていると言います。
彼女の安否を確認に行きたいのだが、弥生一人では不安なので同行してくれる小夜子の知り合いを探しているのだと。
そして、以前小夜子から名前を聞いたことのある「元彼」の倉坂のもとを訪ねたのでした。
小夜子への思いをまだ断ち切れていない「倉坂」は、そのルームメイトの「弥生」と一緒に稲守村に向かうことを決心します。
訪ねていった小夜子の叔母の家で分かったことは、小夜子は23年ぶりの行われるある儀式の巫女に選ばれたという事実でした。
そして、その本祭までの期間は、外界とは遮断された離れで禊の日々を送っているというのです。
そのため、弥生が連絡を取ろうにも音信不通になっていたわけです。
本祭まであと2日、倉坂たちも儀式を見るように勧められ、村に滞在することになりました。
しかし、その祭りまでの間に村では奇怪な出来事が次々に起きるのです。
一体、その儀式とはどんなものなのか?
社に祀られている、村人が口にするのも憚る「ナキメサマ」とはどんな存在なのか?
やがて明かされる、過去の哀しい出来事が全ての始まりだったのです。
そして、最後には意表をつく結末が・・・。
第40回横溝正史ミステリー&ホラー大賞<読者賞>受賞作で、
ミステリ要素もある本格ホラーです。
まとめ
いかがでしたか?
2022年1月からKindle Unlimited で読んだ本を、月一度のペースで紹介してきました。
今回は、8月夏本番ということで「ホラー特集」にしてみました。
哀愁漂う作品から、サイコホラー、本格ホラーとバリエーションも考えてみました。
子供の頃の夏休み、怖いもの見たさで怪談をみて、ゾーッとしながらも楽しんでいたあの頃を思い出して、
この夏、ホラー作品を手に取ってみるのも悪くないかもしれませんよ。
今回の記事が、暑い夏を過ごすあなたを少しでも「涼しく」することに役に立てればうれしいです。
コメント