Kindle Unlimited で読んだ小説5選(2022年10月版)

読書

Kindle Unlimited 読み放題について

Kindle Unlimited 読み放題」は、ご存知の方も多いかと思います。

毎月定額で、対象の本が読み放題になる「本のサブスク」サービスですね。

その読み放題のサービスを利用して、私が読んだ本を紹介する記事を過去数回にわたって公開してきました。

今回も、9月に読んだ本、5冊の紹介をしようと思います。

先月の記事でもお伝えしましたが、「読み放題」対象の作品は、随時入れ替えされます

紹介するタイミングで、タッチの差で対象外になってしまうことが度々あるのですが、

今回も10月1日時点で、『フラッガーの方程式』が対象外になってしまったようです。

その他の4作は、現時点ではまだ読み放題対象ですので、気になる方はお早めにどうぞ。

Kindle Unlimited」の詳細はこちら🔽でご確認ください。



『ノワール・レヴナント』浅倉秋成

さて今回一冊めに紹介するのは、

浅倉秋成さんの『ノワール・レヴナント』です。

文庫本でも、「鈍器本」(笑)と言われるほど厚みのある作品で、

結構なボリュームの物語になっています。

※2022年11月1日確認:こちらは読み放題の対象から外れているようです。

他人の背中に「幸福度」が見える。本の背をなぞって中身をすべて記憶する。毎朝5つ、今日聞くセリフを予知する。念じることで触れたものを壊す。奇妙な能力を持つ4人の高校生が、ある少女の死の謎を追う。

Amazon紹介文より

4年前の全く同じ日、それぞれ異なる特殊能力に目覚めた、4人の高校生。

その能力を得た時、4人とも同じ言葉を「聞いた」のです。

それは、あなたに預けます。
ですから、その時まで、
どうぞご自由にお使いください。
ただもしも、その時が来たら、
私に協力しなさい。

その時が来ても、
あなたが、私に協力をしないと言うのなら、
あなたはーーー

それ」というのは、特殊な能力のことのようです。

そして「それ」は、預けられたものだと・・・。

さらに、「その時」が来たら、その能力で「私に協力しなさい」ということらしいのです。

その4人の能力とは、

大須賀駿は、他人の背中に数字が見える能力

その数字は、その人のその日の「幸運度」を偏差値のように表したもののようだと「駿」は考えています。

三枝のんは、指で本の背表紙をなぞることで、その内容を瞬時に丸ごと読み取ってしまう能力

しかも一度読み取った内容は、忘れることはありません。

江崎純一郎は、朝起きるとその日に起きる予言を5つのフレーズとして「聞く」能力

その聞き取ったフレーズは、その日必ずどこかのシーンで再生されます。

そのため彼は、そのフレーズが再生される場面を予測することで、事態の展開を推測できるのです。

葵静葉は、対象の「もの」を壊す能力

静葉のイメージの中には、ポイント切り替えのような「レバー」があります。

対象物に触れて、そのレバーを倒すことで「それ」を壊すことができるのです。

彼らがそれぞれの能力を「預かって」から4年経ちました。

彼らはある日、東京ビッグサイトで行われる「イベントチケット」を偶然手に入れます。

それは、同一日、同一会場で開催されるイベントですが、4人それぞれに異なる内容でした。

そのイベントに向かった4人は、成り行きでそれから5日間行動を共にすることになります。

そのイベント主催者によって、会場近くのホテルが5日間予約されていたのです。

能力者の4人が、集められた理由は・・・、

彼らに託された役割とは何なのか?

能力を「預けられた」時に「聞いた」、「その時」が今なのか?

そうして、4人の謎解きと冒険が始まります。

過去に何があったのか?

そして彼らに伝えられた、「私に協力しなさい」とは、何をどうすればいいのか?

まるで、カードゲームの手札を開いていくように進められる伏線回収は圧巻です。

『星の子』 今村夏子

次に紹介するのは、

今村夏子さんの『星の子』です。

※2022年11月1日確認:こちらは読み放題の対象から外れているようです。

元首相の事件から、よく見聞きするようになった「二世信者」という言葉。

この物語は、その「二世信者」のお話です。

林ちひろは中学3年生。病弱だった娘を救いたい一心で、両親は「あやしい宗教」にのめり込み、その信仰が家族の形をゆがめていく。

Amazon紹介文より

きっかけは、生まれてまもない病弱な娘を救いたい一心からでした。

とりわけ全身にできた湿疹は、専門医の塗り薬も、民間療法も試しましたが改善しません。

夜中にかゆみで泣き叫ぶ娘を前に、両親はなすすべもありませんでした。

そんな折です、

父は、生まれてまもない我が子について抱える悩みを、会社でぽろっと口にした。たまたま父の話を聞いた同僚のその人は、それは水が悪いのです、といった。は? 水ですか? 水です。

翌日、プラスティック容器に満タンに入れられた水を、父はその人から渡された。
「この水で毎朝毎晩お嬢さんの体を清めておあげなさい」といわれた。

最初は半信半疑だった父だったが、タダだということでもらって帰りました。

そしていわれる通りに娘の体を「清めて」やると、症状が徐々に改善していったのです。

それがきっかけでした。

いつまでもタダで水をもらうわけにもいかないので、両親はその『金星のめぐみ』という水を購入するようになりました。

その販売元のカタログには、水以外にも食材サプリメント衣料品なども掲載されており、

それらの効能について、細々と書かれていたのです。

それらの情報に触れるうちに、両親は次第にその集団の考え方に染まっていったのです。

いつの間にか、新興宗教にハマっていく典型例のように。

娘が物心ついた頃には、両親は宗教にハマっていました

毎週のように連れていかれる「集会」で会う人たちが、社会そのものでした。

けれどやがては、気がつくときがきます。

ウチの普通は、他所の家の普通じゃない」ということに。

そして、「普通」の子たちからは、次第に敬遠されるようになっていきました。

自分の両親が「普通」でなくて疎ましくても、家族の関係から簡単に逃れることはできません。

そこに「二世信者」の哀しみを感じました。

『フラッガーの方程式』 浅倉秋成

次に紹介するのは、

一冊めに紹介した『ノワール・レヴナント』と同じ朝倉秋成さんの作品で、

フラッガーの方程式』です。

※お詫び
2022年10月1日現在:この作品は読み放題の対象から外れてしまったようです。



読み始めは、同じ作家さんとは思えないほど軽いノリのお話に感じましたが、

終盤の伏線回収のスピード感はさすがだと思います。

「物語の主人公になって、劇的な人生を送りませんか?」

平凡な高校生・涼一は、日常をドラマに変える《フラッガーシステム》のモニターになる。

意中の同級生佐藤さんと仲良くなりたかっただけなのに、生活は激変!

ツンデレお嬢様とのラブコメ展開、さらには魔術師になって悪の組織と対決!?

佐藤さんとのロマンスはどこへやら、システムは「ある意味」感動的な結末へと暴走をはじめる! 

Amazon紹介文より

フラッガーシステム」が目指したものは、

誰もが現実において、物語の主人公になれるシステムの開発」でした。

システム開発プロジェクト シナリオ編成・広報・営業担当の「村田静山」さんはこう説明します。

これは最新鋭の技術と知識、とりわけ社会学、心理学による「場の空気」と「人の行動」に関する研究、物理学、気象学、流体力学などを始めとするあらゆる物理現象の研究などを集大成した、実に科学的なシステムなのです。
ストーリーの進行補助として世の中で知られている三百ものフィクションの名作をシステムのデータベースにプログラムさせることにより、効率の良いストーリーの作成を実現。システムに「主人公とする人物」、「システムを稼働する期間(物語の長さ)」、「希望するラストの展開」をインプットすれば、たちまち誰でも主人公になれる。そんな夢のようなシステムが、事実として「ほぼ」完成しているのです。

という「画期的」なシステムだというのです。

そして、「主人公」に設定された人物が「フラグ」に相当する言動をすると、

それを感知したシステムが現実世界に影響を与えて、その後の展開を導くのです。

ちなみにシステムのデータベースに収められた「三百ものフィクションの名作」とは、

その内二百九十九作品が「深夜アニメ」で、残りの一作が『戦場のメリークリスマス』だということです。

このことから、何となく「フラグ」によって導かれる「テンプレート」が予想できるような気がします。

そのシステムの「デバッガー(モニター)」に選ばれたのが、平凡な高校生の「東條涼一」でした。

最初は、システムの内容に半信半疑の彼でしたが、営業の「村田さん」からデモを見せられて、信じてみることにします。

そして、彼からの「東條さんにはいませんか、気になる女の子?」という言葉に取り込まれてしまいます。

そうです、「涼一」はこのシステムの力で、片思いの同級生「佐藤さん」と、お近づきになれればと考えたのです。

こうして、涼一の「1ヶ月間のモニター」生活が始まりました。

ところが、モニターが始まってみると、意中の佐藤さんとは特に進展もなく、全く別方向のイベントに次々に巻き込まれてしまうのです。

読者の私は、次々に発生する「ラブコメ要素満載のイベント」に、笑いながら読み進めましたが、

終盤に入って、物語の展開は一気に加速します。

不覚にも、涙を零してしまう場面も・・・。

物語の前半で、この作品を舐めてはいけません。

最後まで読み終えてから、評価していただきたい作品です。

『見た目レシピいかがですか?』 椰月美智子

次に紹介するのは、

椰月美智子さんの『見た目レシピいかがですか?』です。

「人は結局見た目、第一印象で得もするし損もする?」ということを考えされられた作品です。

「イメージコンサルタント」に関わる4人の女たち、それぞれの事情とは? 

「きれいになりたい」「自分らしくありたい」と思う女性たちの心理を、鋭くかつ細やかに描く、連作小説集。

Amazon紹介文より

それぞれ異なる理由で、「イメージコンサルタント」にたどり着いた三人の女性と、

イメージコンサルタントとして、アドバイスをする仕事を選んだ御手洗繭子

彼女たちはどんな事情を抱えて、その場所に行き着いたのでしょうか?


第一話 純代の場合

純代の娘は、受験に合格して希望の私立中学に入学できました。

中学生になった娘の彩夏は、次第に母親の純代を疎ましく思うようになります

思春期にありがちな、親離れの傾向かと思っていた純代でしたが、

その本当の理由は他にありました。

それは、「こないだのグループ発表会のとき、お母さんが一番ダサかった」というものでした。

名門私立に小学生から通わせている家庭のお母さんたちは「キラキラ」していて、

家事や育児に追われ、自分の身の回りに無頓着になっていた純代とでは、

どうしても差がついてしまったようです。

同級生の母親達と比較して「恥ずかしい」と感じる、思春期の娘の気持ちもわかります。

純代は、娘とのそんないきさつを、幼馴染の靖恵に話しました。

そこで勧められたのが、「イメージコンサルティング」でした。

靖恵自身も、最近コンサルティングを受けたそうです。

そう言われてみると、確かに彼女は以前よりすっかり垢抜けた印象になっていました

こうして、純代は「イメージコンサルティング」を受けてみることにしました。

第二話 あかねの場合

あかねは、高校の同窓会で当時彼女に好意を寄せていた、森村に再開しました。

元々あかね自身も意識していた相手だったので、不倫関係に落ちるのに時間はかかりませんでした。

他の同級生の男子と比べて、若々しく、スーツ姿も格好いい森村に惹かれていったのです。

しかし、ある日のデートで、あかねは森村と並んで歩きたくないと感じます。

スーツ姿の時は格好良かったのに、私服が「あまりにもダサかった」のです。

あかねは、森村に「イメージコンサルティング」を受けるよう勧めたのでした。

第三話 美波の場合

美波は、ロックファンで「ブラックジーンズにサイドゴアの鋲のついたブーツ、黒いサテン地シャツ」を着こなして、一見男性のような格好を好んでいました。

そんな美波がお気に入りのバンドのメンバーから、ある日告白されます。

美波はその告白を受け入れ、二人は付き合うことに。

クリスマスデートの予定を、友人の芹菜に話すと、

ねえ、美波。クリスマスは、ちょっといつもと雰囲気を変えてみたらどうかな

と言われました。

初めは抵抗を示した美波でしたが、芹菜の勧めで「イメージコンサルティング」を受けることになったのです。

第四話 繭子の事情

繭子は、それまで歩んだ人生の中で、第一印象(見た目の印象)が大事なのだと気づきました。

格好を変えただけで不良の烙印を押された中学時代。ハンブルク行きの飛行機で、繭子のヤンキー的な外見を見て、おろそかな対応をした日本人キャビンアテンダント。ドイツ生活で発見した、世界共通のダサいセンス。航空会社の一次選考会で出会った、ドレスを着ていたキャビンアテンダント希望者。どういうわけか、トラブルを引き寄せてしまう客室乗務員。
それらについて考えたとき、共通しているのはやはり見た目なのだった。外側を見た印象で、人は簡単に自分なりのレッテルを貼り分類してしまう。


そう気づいた繭子は、

子育てや仕事や家事に追われて、なりふり構わず日々を過ごしている人にこそ、キレイになってほしいと願うし、応援したい」と思います。

そして、「意識を少し自分に向けるだけで、人は大きく変われる」と彼女は信じています。

人々の印象をコンサルティングしてきた繭子ですが、彼女にもある事情がありました。

この物語は、そんな彼女を訪れる人たちを、見かけだけでなく、心も開放していくお話でもあります。



『聖なる怠け者の冒険』 森見登美彦

今回最後の紹介するのは、

森見登美彦さんの『聖なる怠け者の冒険』です。

※2022年11月1日確認:こちらは読み放題の対象から外れているようです。

堂々の、「第2回京都本対象受賞作」です!

京都の街に現れた「ぽんぽこ仮面」という怪人と、それを取り巻く人々の物語です。

メイン舞台は祇園祭の宵山の夜です。

登場人物達が、京都の街を駆け巡るように大冒険が繰り広げられます。

社会人2年目の小和田君は仕事が終われば独身寮での夜更かしを楽しみとする地味な生活。ある日、狸のお面をかぶった「ぽんぽこ仮面」との出会いから、めくるめく冒険の一日が幕を開ける。

Amazon紹介文より

主人公の一人「小和田(こわだ)君」は、とにかく怠ることを生き甲斐にしています。

仕事から解放された週末は、とにかく独身寮で何もせず怠惰に過ごしたい人なのです。

一方時を同じくして、京都の街に「ぽんぽこ仮面」という怪人が現れました。

手作りのたぬきのお面に、旧制高校のマントをはおり京都の街に出没するのです。

その姿から当初は怪しい「異常者」のように扱われますが、やがて人助けをする「正義の味方」としてヒーロー視されていきます。

実はこの「ぽんぽこ仮面」、何故か「小和田君」に、「ぽんぽこ仮面2代目」になって跡を継いで欲しいと口説いているのでした。

何よりも怠惰を好む小和田君は、当然「ぽんぽこ仮面2代目」などを引き受けるつもりはありませんでした。

だって、人助けのために時間を使っていたら、「怠ける」ことができなくなります。

そんなある日、京都中に「ぽんぽこ仮面」を捕まえる様にという「謎の指令」が広がります。

その「指令」とはどんな黒幕から発せられたものなのか?

こうして、京都の街を舞台とした、ぽんぽこ仮面を追うもの達との間での大冒険が始まったのです。

さて、いったい誰が何のために、ぽんぽこ仮面を捕まえようとしているのか?

あなたも、この京都の街を駆け抜ける壮大な暇つぶしに参加してみませんか。

まとめ

いかがでしたか?

今回も「Kindle Unlimited」で、2022年9月に読んだ小説5作品を紹介しました。

1冊目に紹介した『ノワール・レヴナント』は結構なボリュームでしたが、今回の中では個人的に一押しの作品です。

アニメ好きな方はもちろん、それほどでもない方でも『フラッガーシステム』も面白いと思います。

星の子』は、まさに今タイムリーな「二世信者」の問題に触れているので、そのような視点からも考えさせられる作品です。

見た目レシピいかがですか?』では、人は何だかんだ言っても「見た目」。

「第一印象」で得もするし、損もするということを、あらためて思いました。

また、自分の外見に自信がつくことで、メンタル面でもポジティブな効果があることも確かでしょう。

その様な効果で人生が良い方向に変わっていくのならば・・・。

それもまた素晴らしいことではないでしょうか?

聖なる怠け者の冒険』は、いかにもな森見登美彦ワールド全開の作品です。

京都の街を舞台に、ぽんぽこ仮面をめぐる大冒険が繰り広げられます。

それは例によって異世界への扉を開いてしまったかのような・・・。

無条件で楽しめる作品です。

以上、どの作品も一読の価値のある作品です。

どれか気になるものがあれば、一度手にとっていただければと思います。

以上、今回の内容が何かあなたの参考になればうれしいです。


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