さて、私は現在年休消化状態で早めの夏休みを過ごしていますが、
だんだん退職の日が近づいてきました。
以前、「定年退職に伴う手続きいろいろ」という記事を書きましたが、
手をつけられるところからそろそろ準備を始めたいと思います。
まず今回は、健康保険についてです。
以前の記事でも書きましたが、退職後に社会保険完備の会社に再就職するまでは、
「任意継続被保険者」か「国民健康保険」のどちらかを選んで加入することになります。
(再就職された場合は、その会社の規定に従って下さい。)
「任意継続被保険者」と「国民健康保険」の違いについて
「任意継続被保険者」は会社で加入していた保険を退職後も2年間継続できますが、
在職中は労使折半だった保険料が全額自己負担になります。
(ただしこの場合も、自己負担の保険料に上限はあります。)
加入資格及び条件については繰り返しになりますが、以下のようになります。
- 資格喪失日の前日までに「継続して2ヶ月以上の被保険者期間」があること。
- 資格喪失日から「20日以内」に申請すること。
- 継続できるのは2年間
余談ですが、3項目とも「2」がつくので、FPの試験対策では「任意継続の『2』」と覚えます。(笑)
「任意継続の『2』」と覚えましょう!
一方、「国民健康保険」は、前年の所得によって保険料が決まるので、
今年、退職後の所得が仮に「0円」でも前年の所得がそれなりにあれば保険料が高額になる可能性もあります。
「国民健康保険」と「任意継続被保険者」の主な相違点は下の表のようになります。
国民健康保険 | 任意継続健康保険 | |
療養の給付 (家族療養費) | ○ | ○ ※労災以外 |
高額療養費 | ○ | ○ |
出産育児一時金 | ○ | ○ |
出産手当金 | ❌ | ○ |
傷病手当金 | ❌ | ○ |
埋葬料、葬祭費 | ○ | ○ |
あと1点注意が必要ですが、「国民健康保険」には「扶養家族」の概念がありません。
そのため、在職中の保険に扶養家族が含まれているかたが「国民健康保険」を選択する場合は、その「扶養家族」もご自身で「国民健康保険」に加入する必要があります。
保険料を比較する際には、扶養家族が別で「国民健康保険」に加入する分も加味して検討する必要があるということになります。
では、比較のためにそれぞれの手続きを確認してみましょう。
任意継続被保険者の手続き
私が現在加入している健康保険は「全国健康保険協会」ですので、居住地を管轄する支部のサイトにアクセスしました。
手続きには、まず「任意継続被保険者資格取得申出書」という書類の提出が必要なようです。
サイトの案内では、郵送で手続き可能とのこと。
「申出書」のPDFフォーマットがダウンロードできますが、手書き用と入力用の2種類が用意されています。
私は入力用で試してみます。
任意継続被保険者資格取得申出書
「申出書」には、「勤務していた時に使用していた被保険者証の番号記入欄」があります。
会社に返却してしまう前に、コピーをとるなり、番号を控えておく必要があります。
この点、ちょっと注意が必要ですね。
あとは、下半分に「健康保険資格喪失証明欄」があります。
これは、事業主側の記入事項で任意ですが、この欄に記載があると新しい被保険者証の発行が早くなるようです。
ただ、この点については、別途添付資料の案内もありました。
下記のいずれかの退職日を確認できる書類を添付すればそちらでもOKなようです。
- 退職証明書写し
- 雇用保険被保険者証離職票写し
- 健康保険被保険者資格喪失届写し
こちらも任意ですが添付して提出すると、
※上記に挙げた書類のうちいずれかを添付頂きますと、保険証の早期発行(1週間程度)が可能となります。添付がない場合は、日本年金機構から資格喪失記録の提供を受けてからの発行(2~3週間程度)となります。
全国健康保険協会 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g2/cat240/r55/
ということですので、早期に「保険証」を発行してもらって安心したい方は、添付した方が良いでしょう。
私は、会社から「雇用保険離職票」と「健康保険資格喪失連絡票」をもらうことになっているので、どちらかで対応できそうです。
以上が基本の申請方法ですが、扶養家族も含めて「任意継続」する場合は、扶養家族であることを証明するためにいくつか追加の書類を提出する必要があります。
下の表は扶養者が国内在住の場合です。
※海外在住の場合は、協会のサイトなどで確認してください。
在職時より引き続き被扶養者となる場合 | 任意継続の資格取得と同時に新たに被扶養者となる場合 | |
被保険者と同居 | ○収入を証明する書類 ※1 | ○続柄を証明する書類 ○収入を証明する書類※1 ○同居していることを証明する書類 |
被保険者と別居 | ○収入を証明する書類※1 ○仕送りの事実と仕送り額の確認ができる書類※2 | ○続柄を証明する書類 ○収入を証明する書類※1 ○仕送りの事実と仕送り額の確認ができる書類※2 |
※2 16歳未満及び16歳以上の学生の場合は添付不要(16歳以上の学生の場合は職業欄に「学生」と記入してください。)
という感じで、扶養家族については提出物が多いですが、一緒に継続できるのはメリットですね。
これら「申出書」の提出方法については郵送で可能とのことです。
窓口は混み合う場合があるので郵送を推奨と記載されていました。
確かに昨今のコロナの状況を考えると郵送が無難ですね。
国民健康保険の保険料試算
さて、次に「国民健康保険」について確認しました。
こちらは、居住する市区町村が窓口ですので、まず市役所に
「国民健康保険への加入を検討しているので、保険料の試算をお願いしたいのですがどのようにすれば良いですか?」
と電話しました。
すぐに担当の方に電話が回されて、定年退職するので国民健康保険への加入を検討している旨を伝えると、「任意継続と比較検討されたいのですね」と、さすが話が早いです。
おそらく、同様の問い合わせが良くあるんでしょうね。
「本人確認できるもの(運転免許証など)を窓口に持参いただければその場で試算させていただきます。」
とのことでしたので、お礼を言って、後日伺いますということになりました。
翌日午後に窓口に行くとすぐに案内されました。
運転免許証で本人確認を済ませ、定年退職のため現在の健康保険の資格喪失になる9月から加入を検討していることを伝えます。
すると、試算は年度末の3月まで(7ヶ月分)の保険料になるので、それを7で割って1ヶ月分を算出するとのことでした。
年度が変わると保険料も変わるんですね。
すぐに(体感的には2〜3分)試算結果が出ました。
予想よりもかなり高額な保険料で、1ヶ月7万7千円を超えていました(汗)。
保険料は前年の総所得額で決まるのですが、ということは給与所得以外の所得も加算されます。
私の場合、ちょうど空き家になっていた実家の売却ができて「譲渡所得」が加わっていたので余計に高額になったわけです。(所得税も結構とられたのになぁー。)
さすがに、窓口の担当の方も「この額だと国民健康保険よりは任意継続を選ばれた方が良いでしょうね」と気の毒そうに言われました。
さらに、
「今年の所得額によっては、再検討可能な保険料になるかもしれませんので、よろしければ来年3月半ば以降に一度電話で、新年度の保険料算出が可能かどうか問い合わせください。」
「その時点で、試算可能ということになりましたら、確定申告された際の資料を持参いただければ、それで試算いたします。」
とアドバイスいただきました。
とても丁寧に対応いただき、市役所の担当の方には感謝です。
ということで、私は「任意継続被保険者」を選択することにしました。
そのため、「国民健康保険」の申し込みについての資料はもらいませんでしたが、
今回試算をお願いしたように、窓口に行けば丁寧に対応してもらえると思います。
ではさっそく、「任意継続」の手続きの準備を始めようと思います。
まとめ
- 再就職するまでは、「任意継続被保険者」と「国民健康保険」の選択肢がある
- 「任意継続被保険者」には加入条件を満たせば扶養家族も一緒になることができる
- 「国民健康保険」は前年の総所得で保険料が決まるので、役所に確認が必要
- 「国民健康保険」前年の総所得によっては、保険料が高額になる可能性がある
- 「任意継続被保険者」と「国民健康保険」とを比較して有利な方を選択しよう!
以上、この記事があなたの参考になれば嬉しいです。
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