おじさんの本棚 第23回『ドクター・ホワイト 千里眼のカルテ』樹林 伸

読書

おじさんの本棚から紹介する23冊目の本は、
樹林伸さんの『ドクター・ホワイト 千里眼のカルテ』です。

2022年1月17日(月)スタートの「月10ドラマ ドクターホワイト」の原作小説です。


読み出してすぐに感じました。
この作品間違いなく私好みの、面白い物語です。

早朝の公園に、白衣一枚で現れた謎の美少女・白夜。彼女にはどんな病気も見抜く、天才的な「診察」能力が備わっていた。「症状」の影に大病の予兆! 神の診断力をもつ少女が、医師も救えぬ命に挑む!

Amazon 紹介文より引用

ジャーナリストの「狩岡将貴」が出会った少女は驚異的な診断能力を持っていた。

まだ20歳前後にしか見えない、この少女は一体何者なのか?

謎は深まるが、その少女は驚異的な診断能力で、ベテラン医師たちも見つけられなかった病因を言い当てる。

そして、正しい診断がされなければ命を落とすところだった患者を救っていく。

あらすじ

第一章 カスパー・ハウザー

二日酔いを押して、早朝のジョギングに出たジャーナリストの「狩岡将貴」は公園で一人の少女と遭遇する。

朝霧の中から現れた彼女は、裸足で、素肌に白衣だけを身につけて呆然と歩いていた。

レイプされたのかと心配して近づこうとしたその時、少女は不意に崩れるように倒れた。

将貴は、知り合いの医師「高森麻里亜」に連絡して、麻里亜の病院に少女を運んだ。

麻里亜の診察の結果、少女には目立った外傷もなく、性暴力を受けた形跡は見当たらなかった。

しかし、少女は意識が戻っても名前も素性も話そうとしない。

初めて発した言葉が「ヘリコバクター・ピロリ

話しかける将貴の息から、彼の胃に「ピロリ菌」がいることを言い当てたのだ。

そしてピロリの胃粘膜感染の説明も、相当な医学知識の持ち主であることを示す内容だった。

そして彼女は、やっと「白夜」という名前だけを告げてくれた。


白夜のことを思う将貴は、彼女が「秘めていること」を話せるようになるまで、自宅で引き取ることにした。

将貴は、妹の「晴汝(はるな)」と一緒に暮らしていた。

晴汝は大学の看護部の2年生だが、持病があり休学中でほとんど家にいる状態。

そのため、白夜の世話もできるかもしれないと考えた。

そして、白夜を将貴の自宅に連れ帰ると、妹の晴汝が立ち上がれずに足の痺れを訴えていた。

血の気が引いた。虚な目つき、足の神経の異常らしき症状。すぐに連想したのは、晴汝の持病だ。脳に爆弾を抱えている彼女に、神経症状が出たとしたら、命に関わる事態かもしれない。

すぐに妹を連れて、麻里亜の病院に引き返すことになった。白夜も一緒に。

病院では、脳神経外科医の「仙道」らも加わって、考えられる病因について検討された。

各医師の専門分野から検討がなされたが、確定診断は下せずにいた。

そこに白夜がそれまでに見聞きした情報から、晴汝の病因について「答え合わせ」の説明をする。

最初は「素人」が口を挟むことを受け付けなかった医師たちも、その説明を聞いて納得せざるを得なかった。

白夜の診断により、晴汝は大事に至ることなく救われた。

こうして、白夜は高森院長(麻里亜の父親)発案の新規発足する「診断医療チーム」の一員になった。

第二章 DCT

新しく設けられた「診断協議チーム」は「DCT」と名付けられた。

院長の高森巌の提言によって集められた、診断協議チーム『DCT』の構成員として、白夜はこの1週間ずっと、高森総合病院に通っている。白夜の後見人である将貴も、編集者としての取材をかねて、可能な限り同行していた。

そんな中、皮膚科に足首の腫れと痛みを訴える「村木健哉」という患者が訪れた。

担当医の「夏樹」は「虫刺されがきっかけの細菌感染」と診断した。

しかし、そこには思いもよらない「命に関わる」病因が潜んでいた。

第三章 可愛い悪魔

高森総合病院は、経営難に陥っていた。

その経営の立て直しを名目に副院長が招き入れた「JMA」というファンドの代表「藤島大器」が現れた。

白夜の診断能力に興味を持った藤島は、将貴と白夜を自宅に食事に招いた。

藤島の自宅に二人が訪れている時、藤島の5歳の息子「が階段から転がり落ちて気を失うという事故が起きてしまう。

直ぐに、高森総合病院に搬送されたが、誠は原因不明の痛みを訴える。

藤森が院外から招集した、精鋭三名の医師にも確定診断ができないまま誠の症状は悪化していく。

そんな中、またも白夜の推理に基づきDCTメンバーにより真の原因が解明された。

第四章 ミルウォーキーの奇跡

日比野カンナ」は、18歳でデビューして、当時はいくつもの雑誌のグラビアを飾ったグラビアアイドルだった。

しかしそれから5年経過する中で、雑誌への掲載は徐々に減っていき、最近ではヌード一歩手前のような仕事になっていた。

そんな中、大物カメラマンの「加賀美拓也」が撮影する写真集の出版が決まった。

それは俗に言う「枕営業」でカンナが掴み取ったチャンスだった。

その写真集の撮影現場で、カンナは錯乱してしまう。

その状況に、驚いた加賀美がカンナを突き放した弾みで、転倒したカンナは失神してしまった。

カンナが錯乱状態に陥った原因について、高森総合病院でさまざまな角度から検討が重ねられた。

しかし、候補に上がった病因はことごとく否定されていく。

そして、白夜がたどり着いた真の原因とは?

それは、通常ならば生還することは絶望的な病名だった。

DCTのメンバーは、どうすればカンナを救うことができるのか?

読後感

新たな月10ドラマとして予告動画が流れていた原作を、たまたまKindele Unlimitedで見つけました。

「読み放題だし、試しに読んでみるか」という軽い気持ちで読み始めたのですが、

すぐに「あっ、これ好きなやつだ!」と思いました。

謎の少女「白夜」の素性、その医学知識はどうやって身に付けられたものなのか?

物語の根底にその第一の謎があります。

そして、ベテラン医師たちがそれぞれの専門知識を持ってしても解明できない謎の症状の数々。

それを、良くそんなところに気づくなと思わせる推理で真相に辿り着く白夜。

謎解きでワクワクしながら読み進めずにはいられなくなる作品です。

ドラマでは「浜辺美波」さんが白夜役のようですが、どのように演じるのか楽しみです。

この記事を書いているのが、2022年1月17日(月曜日)なので、今夜の第一話の放送を楽しみに待ちたいと思います。

本作品からは少し話がそれますが、作者の「樹林伸」さんは漫画原作者としても活躍されていることを今回初めて知りました。

1962年東京都生まれ。漫画原作者、小説家。コミック原作の代表作に、天樹征丸名で『金田一少年の事件簿』、安童夕馬名で『サイコメトラーEIJI』、姉・樹林ゆう子と亜樹直名で『神の雫』などがある。

Amazon紹介文 「BOOK著者紹介情報」より

とのことです。

『金田一少年の事件簿』、『サイコメトラーEIJI』、『神の雫』どれも好きな作品ばかりです。

だから、こんなにグイグイ読ませる物語が書けるのだと納得しました。

ドクターホワイト』シリーズはまだこの先も続いているようなので、引き続き読んでいきたいと思います。

オススメの本なので、ぜひ一度手にとってみてください。



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