Kindle Unlimited について
読書好きな方なら、「Kindle Unlimited 読み放題」は、もうご存知かと思います。
毎月定額で、対象の本が読み放題になる「本のサブスク」サービスですね。
その「Kindle Unlimited」で私が読んだ本の紹介を、過去数回記事にしてきました。
先月の記事がこちらです🔽
そこで今回も、2022年10月に読んだ本、5冊の紹介をしようと思います。
このところ毎回お伝えしていますが、「読み放題」対象作品は、随時入れ替えされます。
紹介するタイミングで、タッチの差で対象外になってしまうこともありますので、
あらかじめご了承ください。
ただ、「読み放題」の対象から外れても、読む価値のある作品を紹介していきますので、
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
「Kindle Unlimited」の詳細はこちら🔽で、ご確認ください。
『絞首商會』夕木春央
今回一冊目に紹介するのは、
夕木春央さんの『絞首商會』です。
夕木春央さんといえば、最近Twitterの読書垢界隈で話題沸騰の『方舟』の作者さんです。
あまりにも話題になったので、一時入手困難になったほどでした。
『方舟』Kindle版はこちらです↓
その夕木春央さんの、大正時代を舞台にした「探偵小説」がこの『絞首商會』です。
本の帯で、あの「有栖川有栖」氏に「極上の逸品」と言わしめた、
第60回メフィスト賞受賞の本格ミステリです。
和洋入り交じる大正の東京。秘密結社「絞首商會」との関わりが囁かれる血液学研究の大家・村上博士が刺殺された。不可解な点は3つ。遺体が移動させられていたこと、鞄の内側がべっとり血に濡れていたこと、そして、遺族が解決を依頼したのが以前村上邸に盗みに入った元泥棒だったこと――。頭脳明晰にして見目麗しく、厭世家の元泥棒・蓮野が見つけた四人の容疑者の共通点は、“事件解決に熱心過ぎる”ことだった――。
Amazon紹介文より
四月下旬の早朝のこと。
二月前に急逝した「村山梶太郎」の邸宅の庭に、
「村山鼓堂博士」の殺害屍体が見つかりました。
第一発見者は、邸に住む書生の宮尾です。
村山博士は、法医学の一大権威で、警察とも密接な関わりがあったため、屍体発見の一報は警察内部にも衝撃でした。
捜査によると、死因はナイフで刺されたことによるものと判断されました。
ただ、屍体発見場所の石畳には、傷に相当する量の血液は確認されず、
どこか他の場所で殺害されてから運び込まれたものと思われます。
邸に暮らしているもう一人、水上夫人にとって村山博士は叔父にあたります。
夫人は、その叔父の不審な死について、警察よりも先に真相を知りたいと考えました。
その考えは、普段からこの邸に出入りしている近隣住人の「白城」と「宇都木」も同様のようです。
水上夫人は、真相を確かめるために、「蓮野」という男に探偵の依頼をしました。
その蓮野という男は、三年目にこの邸に泥棒に入った犯人だったのですが・・・。
厭世的な思考を持ちながらも、冷静な推理力を持つ蓮野によって徐々に事件の真相に近づいていきます。
事件の背後には、どうやら「絞首商會」と名乗る、無政府主義者の秘密結社が関わっているらしいのですが……。
全ては、過去の出来事が……。
私は、事件の真相を知った時、
人は時々、理不尽な運命を生きなくてはならない、
ということの切なさを思いました。
『マツリカ・マジョルカ』 相沢沙呼
次に紹介するのは、
相沢沙呼さんの『マツリカ・マジョルカ』です。
相沢沙呼さんといえば、清原果耶さん主演で最近ドラマ化された、
『霊媒探偵城塚翡翠』の作者さんです。
ドラマの公式サイトはこちら🔽
その原作『medium 霊媒探偵城塚翡翠』はこちらです↓
『マツリカ・マジョルカ』は、その相沢沙呼さんが、高校を舞台に「日常の謎解き」を描いた物語です。
柴山祐希、高校1年。クラスに居場所を見付けられず、冴えない学校生活を送っていた。そんな彼の毎日が、学校近くの廃墟に住む女子高生マツリカとの出会いで一変する。「柴犬」と呼ばれパシリ扱いされつつも、学園の謎を解明するため、他人と関わることになる祐希。逃げないでいるのは難しいが、本当はそんな必要なんてないのかもしれない……彼の中で何かが変わり始めたとき、自らの秘密も明らかになる出来事が起こり!?
まさか自殺?
学校前の廃ビルの窓から身を乗り出す制服の少女。
もしも、自殺を考えているのなら止めなければと、祐希は、急いでビルの4階まで駆け上がりました。
そこにいたのが「マツリカ」さんでした。
彼女は、その廃ビルに住んでいて、窓から学校を観察しているのだと言います。
どうやら、学校にまつわる怪談を調べているらしいのです。
そして、その出会いがきっかけで、祐希はマツリカさんの「パシリ」のように校内の調査を命じられるようになります。
マツリカさんはかなりの「どS」で、女王様のように振る舞い、祐希のことを「芝犬」だとか「駄犬」と呼びます。
そんな扱いを受ける祐希も、結構「ドM」のようで、罵られることを受け入れているようです。
そんなマツリカさんの指示に従うには、校内の人たちに聞き取りをする必要があります。
今まで、できるだけ他人と関わるのを避けてきた「コミュ障」の祐希にとってそれは大きなハードルでした。
調査過程で祐希が途方に暮れるような謎に突き当たっても、不思議なことにマツリカさんは極めて論理的に謎を解明してみせます。
こうして、校内のいくつかの謎を解決していくうちに、二人のやり取りも少しずつ変化して行きます。
表面的な女王様と駄犬の位置関係は変わりないのですが、
マツリカさんの隠された本音が時々見え隠れしているように感じる時があります。
二人の過去にそれぞれ何があったのか?
ドSとドMの会話だけでも楽しめる?作品です。
なお、この作品には2冊の続編があります。
こちらは、「Unlimited」の対象ではありませんが、
マツリカさんと祐希のその後を追いかけてみたくなると思います。
特に2作目は、涙無くしては読めないお薦めの作品です。
是非一度、手に取ってみてください。
『彼女の色に届くまで』 似鳥 鶏
次に紹介するのは、
似鳥 鶏さんの『彼女の色に届くまで』です。
画家を目指す僕こと緑川礼は謎めいた美少女・千坂桜に出会い、彼女の才能に圧倒される。僕は千坂と絵画をめぐる事件に巻き込まれ、その人生は変化していく――。
Amazon紹介文より
画商の息子に生まれた緑川礼は、幼い頃から自分の画力に自信を持ち、いずれは有名画家になれると信じていました。
しかし、成長して高校生になる頃には、世の中上には上が居るということを思い知らされます。
絵を描くことに没頭してきた礼は、普通の高校生男子のようにみんなに溶け込めるわけでもなく、
冴えない高校生活を送っていました。
そんなある日、学園理事長が大切にしていた絵画が何者かによって破損される事件が起きます。
美術室で一人で作業することの多い礼が、その犯人だと疑いをかけられてました。
そんな礼を救ったのが、過去にたった一度傘を貸しただけの謎の美少女「千坂桜」です。
彼女は、有名絵画をヒントに事件の真相を言い当て、礼を救ってくれたのです。
そして、犯人らしき人物だと彼女が書いた似顔絵に、礼は彼女の天才的な絵の才能を見出しました。
桜はちゃんと絵画を学ぶべきだと考えた礼は、彼女を美術部に入れようと考えます。
それから、礼と桜は絵画を取り巻くいくつかの事件に遭遇しますが、
いつも、桜が絵画をヒントに謎を解き明かしていくのです。
彼女の、天才的とも言える、絵の才能はどこから得たものなのか?
また、なぜ彼女に名探偵のような推理が可能なのか?
それは、彼女のある秘密に関係のあることだったのです。
『殺した夫が帰ってきました』 桜井美奈
次に紹介するのは、
桜井美奈さんの『殺した夫が帰ってきました』です。
やっと手にした理想の生活だったのに……。
Amazon紹介文より
都内のアパレルメーカーに勤務する鈴倉茉菜。茉菜は取引先に勤める穂高にしつこく言い寄られ悩んでいた。ある日、茉菜が帰宅しようとすると家の前で穂高に待ち伏せされていた。茉菜の静止する声も聞かず、家の中に入ってこようとする穂高。
その時、二人の前にある男が現れる。男は茉菜の夫を名乗り、穂高を追い返す。男は茉菜の夫・和希に間違いなかった。しかし、茉菜が安堵することはなかった。なぜなら、和希はかつて茉菜が崖から突き落とし、殺したはずだったからだ。
鈴倉茉菜の夫は、最低のDV男でした。
「このままでは、殺される」
夫の暴力に耐えかねた茉菜は、夫の和希を崖から突き落としてしまいます。
「この崖から落ちたら、助かるはずがない」
茉菜は夫を殺してしまったと確信しました。
それから5年たち、都内のアパレルメーカーで勤めていた茉菜は、
取引先で担当になった穂高にしつこく言い寄られていました。
穂高の行動は徐々にエスカレートし、ある日とうとう茉菜に自宅まで押しかけてきました。
茉菜のが断るのもお構いなく、家の中に上がり込もうとする穂高。
その時、茉菜の夫の和希が現れ、穂高を追い返します。
こうして、茉菜は穂高から逃れられたのですが、もう一つの不安に囚われます。
殺したはずの夫が、生きていた?
自分は殺人犯として、警察に突き出されるのだろうか?
それともまた、あの頃のような暴力で支配される地獄の日々が始まるのか?
ところが、帰ってきた夫は、まるで別人のように優しく接してきます。
夫が言うには、事故前後の記憶をなくしてしまったそうなのです。
そのため、自身が妻である茉菜にどのように接していたかも覚えていないというのです。
さらに、どのような経緯で事故にあったのかも、覚えていないと……。
そして、和希は穂高がまた来る可能性もあるので、茉菜と一緒に暮らすことを提案します。
こうして、茉菜は、「記憶を失った夫」と一緒に暮らすことになりました。
夫は、本当に記憶を失ったのか?
仮にそうだとして、記憶が蘇ったらこの関係はどうなるのか?
不安を抱えながらも平穏な日々を過ごしていたある日、
差出人の書かれていない一通の手紙が届きました。
そこには一言だけ、「鈴倉茉菜の過去を知っている」と書かれていました。
この手紙は、和希が書いたのか?それとも、誰か過去の出来事に気づいた者がいるのか?
過去に遡る、謎解き。
そこに秘められた、哀しい真実。
私は、その真実を知って、この先「鈴倉茉菜」に幸せな日々が訪れますように……、
と、思わずにいられませんでした。
『あの日、君は何をした』 まさき としか
今回、最後に紹介するのは、
まさきとしかさんの『あの日、君は何をした』です。
15年前に事故死した少年の事件と、現在の事件には何か関連があるのか?
北関東の前林市で平凡な主婦として幸せに暮らしていた水野いづみの生活は、息子の大樹が連続殺人事件の容疑者に間違われて事故死したことによって、一変する。深夜に家を抜け出し、自転車に乗っていた大樹は、何をしようとしていたのか――。
15年後、新宿区で若い女性が殺害され、重要参考人である不倫相手の百井辰彦が行方不明に。無関心に見える妻の野々子に苛立ちながら、母親の智恵は、必死で辰彦を探し出そうとする。
刑事の三ッ矢と田所が捜査を進めるうちに、無関係に見える二つの事件をつなぐ鍵が明らかになる。
Amazon紹介文より
2004年3月23日、
「女性連続殺人」の容疑で逮捕された林竜一が、宇都宮警察署から逃走しました。
その後、自転車を盗むところを防犯カメラにとらえられています。
それから三日後の午前二時頃、林容疑者の目撃情報がありました。
駆けつけたパトカーは、無灯火の自転車に乗った不審人物を発見。
職務質問をしようとしたところ、自転車は約一キロ逃走し、駐車中のトラックに激突。
その結果頭を強く打ち、自転車の男は死亡しました。
自転車に乗っていたのは地元に住む15歳の中学生「水野大樹」。
事件とは全く無関係な少年でした。
その少年は、地元の進学校に合格し入学を控えていた、周囲の評判でも真面目な優等生です。
普段から不良仲間と関わっていたこともない彼が、なぜ、午前二時に外出していたのか?
この事故をきっかけに、彼の家族は壊れていきました。
その15年後、新宿区で若い女性が殺害される事件が起きます。
重要参考人として、彼女の不倫相手の「百井辰彦」が浮かび上がりますが、
事件後、彼は行方不明になってしまいます。
辰彦の妻の野々子も、何の連絡も受けておらず、事件前後の夫の行動も把握できていない状況です。
事件を追う刑事の「三ツ矢」は、捜査の過程で、15年前の前林市の事件との不思議なつながりが気になり始めます。
果たして、二つの事件は何んらかの関連があるのか?
過去から明らかになる「真実」。
そこには、不幸な女性の人生がありました。
私は、この物語を読み終えて、
家族による「支配」は悲劇を生む場合がある、ということを思いました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回も、私が10月に「Kindle Unlimited」で読んだ5作品を紹介しました。
今回の5作品、どれも甲乙つけ難いお薦めのお話です。
全般的に、過去の出来事が現在に繋がっている物語が印象に残りました。
最近は気温もかなり下がってきて、読書に絶好の季節になったのではないでしょうか?
深まる秋の静けさの中で、じっくり読書するのは至福の時間ですよね。
気になった作品があれば、是非、手にとって読んでみてください。
読書好きなあなたに、素敵な本当の出会いがありますように。
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